鳰川誠一(洋画)
- 初版公開日:[2020年03月05日]
- [更新日:2020年3月5日]
- ID:3617
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます
茂原市立美術館・郷土資料館収蔵の鳰川誠一の作品
略歴
鳰川誠一(におかわ せいいち) (1897~1983) 全国的、世界的に活躍した郷土物故作家の代表
明治30年、現 茂原市山崎に生まれ、18歳で上京。24歳の時、結核療養を機に、絵をはじめ、葵橋絵画研究所に入所。郷土ゆかりの物故洋画家・今関啓司とも知り合った他、里見勝蔵(ヴラマンク(フランス、フォービスム(野獣派)の画家)に師事し、当時の画壇に大きな影響を与えた。)に師事。
昭和9年、白日会展、独立展に入選。数々の受賞の後、昭和14年、白日会会員(後に退会)となり、昭和23年、独立美術協会会員となる。
天皇陛下の独立展ご観覧案内役を務める等全国的に活躍し、昭和46年、73歳の時、ベルギーで個展。ヨーロッパ芸術展招待出品朱賞受賞(コマンドル位勲章)。昭和58年にはメキシコ国立芸術院招待展出品。
花・女性を題材とした情熱的な作品が多い。
主な収蔵品
鳰川誠一の収蔵作品数は、洋画、水彩画、墨彩画、墨画など合わせて計127点です。このうち10点を掲載しています。
ご注意 画像の転載・利用を禁じます
鳰川誠一「自画像」 洋画 板、油彩 大正10年(1921)作 33.5×24.3cm
作者の戦前作品は、ほぼ焼失しているので、極めて貴重である。
作者24歳、画家を志した時の自画像で、未来を予見するかのような強く若々しい瞳が印象的である。
2000年 オランダでの個展に出品。
鳰川誠一「雪とがん」 洋画 キャンバス・油彩 昭和16年(1941)作 116.8×91.3cm
独立展出品作
鳰川誠一「アンズ」 洋画 紙本油彩 昭和17年(1942)作 38.8×45.7cm
鳰川誠一「三人」 洋画 紙本油彩 昭和25年(1950)作 23.5×37.5cm
作者にとって女性像は、大きなテーマの一つである。太い線描のみでの表現は、その典型的なものである。
1983年 メキシコでの個展、2000年オランダでの個展に出品。
鳰川誠一「男」 墨画 紙本墨 昭和28年(1953)作 45.5×32.9cm
1983年 メキシコ個展、2000年 オランダ個展出品
鳰川誠一「親と子」 洋画 紙本油彩、墨 昭和30年(1955)作 62.0×46.0cm
日動画廊個展、1983年 メキシコ個展、2000年 オランダ個展出品
鳰川誠一「月夜の愛人」 墨彩画 紙本水彩、墨 昭和30年(1955)作 50.0×70.0cm
1990年ニューヨーク個展、2000年 オランダ個展出品
鳰川誠一「花火」 墨彩画 紙本墨、水彩 昭和32年(1957)作 123.6×66.0cm
作者は1952年にも同じテーマを描いた『両国の花火』という作品を制作している。墨の黒さで色彩を際立たせ、花火を印象的に捉えた傑作である。
独立展の他、海外の個展(1972年ベルギー、1983年メキシコ、1990年ニューヨーク、2000年オランダ)に出品された作品である。
鳰川誠一「花」 洋画 キャンバス・油彩 昭和35年(1960)作 72.8×60.8cm
没後の個展(1990年 ニューヨーク、2000年 オランダ)に出品されている作者の傑作の一つで、色彩、構図のバランスは絶妙である。
鳰川誠一「女」 洋画 紙本油彩 昭和38年(1963)作 44.8×37.0cm
作者は昭和30年代あたりから、たびたび外国人女性を描いて
おり、本作も、そのひとつ。
目が大きく、首が長く…とデフォルメされた魅力がある。
鳰川誠一「原生花園」 洋画 キャンバス・油彩 昭和38年(1963)作 227.5×91.0cm
作者の好んで描いた原生花園。情熱に満ちた色彩豊かな、作者の傑作の一つ。
独立展の他、1990年 ニューヨーク個展、2000年 オランダ個展に出品。
鳰川誠一「男と女」 墨彩画 紙本水彩、墨 昭和43年(1968)作 52.9×37.0cm
御宿でのメキシコ人救助に着想を得た作品で、国境を越えた人類の愛は、作者の訴える‘愛と平和’に根ざしたものである。
鳰川誠一「ささやき」 洋画 紙本油彩、墨、パステル 昭和46年(1971)作 45.3×38.0cm
点描や、渦巻きといった表現は、愛のささやき声の映像化であろうか。2000年 オランダでの個展出品。
鳰川誠一「ギリシャ壺の花(未完)」 洋画 紙本油彩 昭和51年(1976)作 72.8×53.0cm
未完という題が付されているのが不思議なほど完成度が高く、構図や色彩の豊かさ、バランスは、鳰川芸術の真骨頂とも云うべき傑作の一つであろう。
鳰川誠一「花」 洋画 キャンバス・油彩 昭和50~54年(1975~79)作 60.6×50.0cm
太い輪郭や明快な色彩、色の対比による鮮やかな印象など、レジェやマティスといった作家を思わせる、傑作の一つと云えよう。
鳰川誠一「海女人命救助」 墨彩画 紙本墨、水彩 昭和55年(1980)作 200.4×380.4cm
1609年9月、現在の御宿町岩和田・田尻浜海岸に現在のメキシコに向かっていたスペイン領フィリピン総督ドン ロドリゴ船長が率いるサン・フランシスコ号が座礁した。岩和田の海女たちが中心に乗組員373名のうち317名を救出した。これが日本人とメキシコ人の最初の遭遇であり、後の友好関係への契機となった。
この出来事に着想を得た鳰川誠一は、国籍、人種を越えた愛、平和を訴えるべく、この壁画を描いた。
本作品は、1983年、メキシコ国立美術館での鳰川誠一展に出品された作品である。
鳰川誠一「顔」 墨彩画 紙本印刷物・彩色、インク 昭和56年(1981)作 53.0×40.0cm
広告チラシを利用し、印刷物の色彩を際立たせた作品。
1983年 メキシコ個展、2000年 オランダ個展に出品。